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2008年7月17日 (木)

後期高齢者医療制度は廃止へ

75歳以上の高齢者を別立てにし、ひとつの医療制度の中に強制的に囲い込んでしまう『後期高齢者医療制度』は、制度が始まる前から廃止を求める声が増え続け、今やその率は各紙の世論調査でも、70%を超えています。怒りが収まらないのは、この制度が、「命をどう守るのか」という視点に立ってできたものではないことを国民が見抜いているからだと考えます。

この制度は、根拠となる法律を変えてまで、医療費の適正化(削減)が前面に出たものです。(老人保健法の第1条にあった『国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保』という文言を全面削除し、新法高齢者の医療確保法では代わって『医療費の適正化を推進する』と明記)。

また、日本はGDPがアメリカに次いで第2位であるのに、国の医療財政負担は皆保険の国々の中でも最も低く、事業主も社会保険料負担を削減してきています。反対に家計からの負担割合は一番高いものになっています。削減すべきは医療給付ではなく、国民の負担割合です。

しかも65歳~74歳の障害者、75歳以上の高齢者を、医療費削減のターゲットとしてねらい打ちするものです。

厚生労働省の資料によりますと、医療費削減計画で2015年の削減額兆円のうち兆円を、2025年兆円のうち兆円を後期高齢者分で削減しようとしています。我が家の医療費が大変だからといって、まずおじいちゃんおばあちゃんの医療費を削ろう、という家庭はないはずです。

世代間の負担の公平を図るなどと言い、政府は、「若い人が何人の高齢者を支えるか」とか「高齢者の一人あたりの医療費が若い人の5倍かかっている」と宣伝しています。『一人あたりの医療費』というのは「1日あたりの医療費」「1件あたりの受診日数」、「受診率」をかけあわせたものです。「一日あたりの医療費」は若い人の方が高い。「1件あたりの受診日数」はほとんど変わりがない。「受診率」だけが高齢者が高いのです。(外来2.6倍、入院6.3倍)高齢者の方が若い人に比べたくさんの人が病院に行く、これは当たり前のことです。当たり前のことが無駄と言われ削られる。削らねばならない無駄はほかにたくさんあるのではないでしょうか。

レセプト点数でみると総医療費の75%は上位25%の患者さんの高度な医療によるものが占めています。まめに受診し、重症化することなく、お元気でいていただくことが大切なのは、高齢者の方の幸せと言う意味だけではありません。医療費削減にも寄与するのです。

今年75歳になる人は12歳という多感なときに敗戦を迎え悲惨な空襲体験、肉親の多くを戦地で失った体験を持っている世代です。同時に戦後の国民皆保険を支えてきた世代でもあります。28歳の時(61年)国民皆保険制度が確立し、40歳の時(73年)には老人医療費が無料化されました。現役時代は、高齢者の医療にしっかり貢献してきたのです。その人たちが、いざ年をとり病気になるリスクを抱えたとたん、それまで入っていた医療保険から切り離され、(「高齢者も応分の負担を」と)医療費削減のターゲットにされる。こんな理不尽な制度はありません。それまでにも、所得税、住民税の老年者控除の廃止、年金の減額、介護保険の改悪など、相次ぐ社会保障の改悪でいためつけられてきたのです。

根本が間違っているこの制度は続ければ続けるほど高齢者ばかりか国民全体をくるしめます。保険料は天井知らずに値上げされ、差別医療が実際のものになってきます。保険証の取り上げは受診抑制、重症化を招きます。小手先の見直しで繕いきれるものではありません。諸外国と比較すると極端に高すぎる医療機器や薬価にもメスを入れる必要があります。本当の無駄はどこにあるかていねいに検討する必要があります。国民の命と健康を守るため、人間の尊厳を守るためにも、この制度は廃止するしかありません。

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